前回は全米株式ETF:VTIと米国長期国債ETF:TLTを組み合わせてどのようにリスクを低減できるかを検討してみました
約ー0.3という逆相関性のあるTLTを使う事で直近15年間でみた場合、最大ドローダウンは半分以下のー20%程度でリターンの低下は10.3%→9.3%の約1%ダウンにとどめました。直近10年ならリターンを維持したままドローダウンだけ半減できるという好ましい結果を得ています
今回はすでに購入済みの債券ETF、BLV:バンガード・米国長期債券ETFがVTIのリスク低減に寄与できているのかの確認です
BLVに関する記事です
BLVは長期国債に加えて社債も含めた債券で国債による逆相関性に加えて社債による高配当(過去平均4%程度)が魅力です。
VTIのリスク低減検討。長期債券ETF:BLVの場合
シャープレシオ最適化
BLVが設定された2008年からのデータではVTI=38.4%に対してBLV:61.6%がもっともシャープレシオが高くなるという結果になりました
TLT検討時もそうでしたが、リーマンショックの影響か債券ETFの割合が大きいパターンがなります。参考情報ですが株価好調のこの5年だけだと株式8:債券2という結果になります。このあたりはどのようにも恣意的に捉える事ができるので注意が必要です
リターンデータとチャート
Portfolil 1:VTI
Portfolil 2:BLV
Portfolil 3:VTI=4:BLV:6
BLV:長期債券ETFが設定された2008年からのチャートです。設定直後にリーマンショックが起った事で暴落時の値動きも確認する事ができます。
リーマンショック時において株式クラスがー50%近くというドローダウンがある中、BLVを6割構成する事で下落幅はー20%以内に抑えられます。年率リターンは株式8.6%に対し約8%にダウンしますが暴落耐性の効果を考えれば許容範囲と言えそうです
VTI:TLTとの比較
前回検討したVTI=56.4:TLT=43.6との比較です
Portfolio 1 : VTI:TLT
Portfoilio 2 : VTI:BLV
2013年まではほぼ同じ値動きを示しますが、2013年以降はVTI:TLTの組み合わせの方が上回ります。VTIが56%と割合が多い影響もあるでしょうが、TLTとBLVの大きな違いのひとつである社債のリターンが悪影響している可能性もありそうなのでアセットとして長期国債と長期社債のチャートを確認してみる事にします
Portfolio 1 :米国長期国債
Portfolio 2 :米国長期社債
訂正前
2003年からのデータとなりますが2008年頃までは同等の動きですが、リーマンショック時には大きく逆に動いています。その後も長期国債が乱高下するのに対して社債は比較的安定した値動きを示していますが、2014年の国債のリターンが大きかった事が以降の差につながったようです
※長期国債と長期社債の比較のはずが長期でない社債データになっていたので差換えます
基本的には長期国債のがボラティリティは高いものの2014年以降の有意な差は認められませんでした。よって先のポートフォリオの比較における差は国債と社債の差というよりは単に株式クラスを多く含むポートフォリオにおいて2013年のVTIベースで30%以上の上昇、国債・社債ー10%という比較的まれなリターン差がそのまま出ただけのようです。検証が紛らわしくて申し訳ありませんでした
VTI:BLV検討まとめ
- BLVでTLT:20年超国債と同様のリスク低減効果を得られる
- BLVは長期社債もあわせる事で長期国債ETFよりわずかに落ち着いた値動きとなる
- BLVの分配金は過去平均4%以上ある
単純にTLT:BLVでも比較してよかったかもしれませんが、相関値もー0.3~ー0.4程度と似たようなレンジにあり、差異は社債の有無だけです。それぞれの過去の推移から適正な割合いも異なるので単純比較はできませんが、ほぼ同等のリスク低減効果を得られました。図表では示しませんでしたがTLTの配当金は2%強なのに対して、BLVは高配当の社債を含むことで過去4%近い分配金を出しているのでそれも魅力かもしれません。
VTIに対して単独にしてはどちらを選択しても大差ないと思いますが、VTI以外の株式ETFも保有するなかで債券ETFをどの程度構成するかは悩みどころです。長期的に株式リターンが優れるのだから不要という人もいれば、資金が大きくなってからとか年齢とともに債券を検討するとか比率を上げるという意見もあると思いますが、今回の結果のように5割6割はともかく10~20%程度を目処に債券ETFもポートフォリオに組入れる事で体感しながら債券の役割を確認していこうと思います。
ところで比率計算時でも触れましたがシャープレシオ最大値はを計算する期間によって割合は変わってきてしまうので注意が必要です。単に期間を最大にとればデータ量も増え、かつ2回ほどの暴落も含めた結果だと全天候的になりますが、例えば現在と似た状況の10年くらいを探しだし計算してみてもいいかも知れません。但し、実際にはそのような期間を抜き出すのは至難の技なのでひとまずは最大期間で考えてみたいと思います
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