BLV:バンガード・米国長期債券ETFの検討
前回、大暴落のリーマンショックから1サイクルとも言える10年経過する中、かなり高値圏にあるように思われる米国株式市場。
実体経済も伴っている部分はあり極端なバブルとはいえないのかもしれませんが、その反動から来るかもしれない暴落への備えはしておきたいものです
その場合、まず第一に候補になるのはやはり債券クラスです
100年以上の超長期でみた場合、株式が最大のリターンを得るというのが事実で、多くの投資家に支持されているジェレミー・シーゲル教授の分析です。
出典:長期なら株式投資がベスト 碩学が読む市場の先行き|マネー研究所|NIKKEI STYLE
しかし個人投資家が長期投資といっても長くても数十年程度で、かつ教育資金用などの場合はせいぜい十数年程度の中期投資です。
この期間程度なら株式が優勢となる可能性も高いと思われますが、それでもやはり極力リスクも軽減したいものです
一般的に株式のリスク軽減に組入れられる債券ですが、株式の次にリターンを得ているのが長期国債なのです。それを組み入れる事でリスクを軽減できないか検討してみたいと思います
近年は景気過熱感の高まりをうけ、金融引き締めとしてFRBによる利上げが行われています
その金利上昇局面で債券クラスを検討する場合どのような商品を選択すべきなのか検討してみました
債券ETFといえばBND:バンガード米国トータル債券市場ETFが定番ですが、短期、長期などを含む総合債券のBNDに対して長期の国債、社債に投資するETFであるBLV:バンガード・米国長期債券ETFを検討してみる事にします
BLV:バンガード・米国長期債券ETF概要
BLV:バンガード・米国長期債券ETFをバンガード社のサイトで確認すると以下の通りです
• ブルームバーグ・バークレイズ米国政府/クレジット浮動調整(10年超)イン
デックスのパフォーマンスへの連動を目指します。
• インデックス・サンプリング法を用いたパッシブ運用です。
• 米国の長期投資適格債券市場への分散したエクスポージャーを提供します。
• 信用力が高く、高いインカム・ゲインを提供します。
BLV基本情報
2017年12月時点のBLVの基本情報です。以下、下記バンガード社のサイトを参考にしています
バンガード・インベストメンツ・ジャパン - 商品案内 - バンガードETF
経費率0.07%は魅力的です。また配当も毎月行われます
発行体別構成比率
米国政府の約4割を占め、続いて工業系の長期債券が36%を占めています
BNDと比較
代表的な項目をBNDと比較してみます
BNDも10年以上の債券を16%ほど組み入れていますが中心は5年以下の債券となっておりデュレーションに9年もの差があります
ちなみにデュレーションとは
「債券投資額の平均回収期間」を表します。そして、「利回り変化に対する債券価格の弾力性」も意味します。
値が大きいほど、金利変動に対して債券価格の感応度が高くなる、つまり金利リスクが大きくなり、値が小さいほど、金利リスクが小さいことを表します。
参考:デュレーション / た行 / 用語解説 / 資産形成の基礎 / 大和証券投資信託委託株式会社
このデュレーションの大きさがポイントになります
長期債券のリスク
一般に債券には以下のリスクがあります
- 価格変動のリスク
- 為替変動のリスク
- 信用リスク
- 国際情勢リスク(カントリーリスク)
BLVに関しては米国債および高格付け債券なので信用、カントリーリスクは低いものの価格変動および為替変動の影響を受ける事になります
BLVとVTIと組み合わせた10年チャート
詳細なデータに基づいたバックテストを簡単に分析でき以下の海外のサイトです
Backtest Portfolio Asset Allocation
今回はシンプルに行う事にします
米国株に幅広く投資する定番のETFであるVTI:バンガード・トータル・ストック・マーケットをメインにする場合をベースとし、そこにBLVを組み合わせるポートフォリオを検証してみました
検証ポートフォリオ:VTI-BLV
割合は以下の通りVTI100%~VTI25%:BLV75%まで3通りと追加でBLV100%で計算してみました
配当再投資という条件です
検証結果1
最初の3つの組み合わせで100ドル(任意に設定可)投資した場合の結果。ETFが設定されてからのデータです
矢印がリーマンショック後の最大下落時です。VTIでは48%ものドローダウンです。資産がおおよそ半分になるという事です
一方BLVを50%組み合わせた2番目では25%下落にとどめています。
それでいて期待年間リターンはVTIのみ8.73%に大してVTI-BLVミックスで8.36%と大差ありません
グラフを見てわかるとおりVTI100%がVTI-BLVミックスを上回るのは2017年です
検証結果2:BLV100%
PF3をBLV100%で再検証してみました
BLVだけだとVTIが最安を記録した時点ですでにリーマンショック前に値を戻しています。ただし2014年にはVTI100%と拮抗します
ただし、お気づきの方もいると思いますが、リーマン前のタイミングでスタートすると上のように拮抗した結果となりますがスタートがリーマンショックが落ち着いた2010年だとすると全く違った結果になります
もう圧倒的にVTI100%の勝利です。単純にリターンで倍もの差があります
このように一括投資でスタートで10年程度で比較すると大きな差がでる可能性が十分ある訳です。個人がどのタイミングで市場に参入するかはほぼ偶発的なタイミングです。
この偶然に左右されない為にはやはりある程度時間分散は必要だと思います。
リターンあたりリスク軽減にはならないのかもしれませんが、心理的には安心できます
しかしこの場合でもシャープレシオがもっとも高いのは50%ミックスとなる事も強調しておきます
BLV株価単独チャート
最後のBLVの価格チャートです
リーマン後70ドルから最大で100ドル程度とBNDと比べれば長期債という事もあり、かなり値動きは大きくなりますが、株式に比べればかなり穏やかな動きといえます
BLV:米国長期債券ETF検討まとめ
BLV:バンガード・米国長期債券ETFについて検討してみました
債券ETFについては総合債券ETFとして代表的なBND以外にも長期の国債のみのEDV:バンガード・超長期米国債ETF、長期社債だけのVCLT:バンガード・米国長期社債ETFなど。国債・社債、償還期間の長短。そのミックス。もちろんiシェアーズも豊富なTLTなど債券ETF商品を揃えています
今回は長期で国債、社債ミックスのBLVを選択し検討してみました
この結果を見る限りは債券組入れも検討すべきかなと思いました。
実際のところ既にわずかながらですが購入済みです。状況を見ながら株式ETFとのバランスを調整していこうと思います
但し、外国債券の場合為替の問題もありなかなか単純にはいかないのでまだまだ検証が必要なようです
BLV:バンガード・米国長期債券ETFの記事でした
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